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東京地方裁判所 平成6年(特わ)1882号 判決

本籍

東京都渋谷区千駄ヶ谷三丁目五九番地

住居

同都新宿区西新宿四丁目八番四号 オリエンタル新宿コーポラス二〇七号室

会社役員

名取至裕

昭和二五年一〇月二四日生

主文

被告人を懲役一年及び罰金一四〇〇万円に処する。

この罰金を全額納めることができないときは、二〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判が確定した日から三年間懲役刑の執行を猶予する。

理由

(犯罪事実)

被告人は、東京都渋谷区千駄ヶ谷三丁目二六番七号(平成三年三月三一日以前は同区千駄ヶ谷三丁目五九番八号)に本店を置き、不動産の売買、仲介及び管理等を目的とする資本金五億七九五〇万円(同年一〇月七日以前は四億九九五〇万円、平成二年八月三〇日以前は三億九八〇〇万円、同月一三日以前は九九五〇万円)の株式会社である株式会社ナッシュの代表取締役としてその業務全体を統括していた。被告人は、同社の業務に関し、その法人税を免れようと考え、架空の旅費交通費を計上するなどの方法により所得を隠して、平成二年三月一日から平成三年二月二八日までの事業年度における同社の実際の所得金額が七億三四八八万六八四七円(別紙1修正損益計算書参照)、課税土地譲渡利益金額が四億四七〇〇万五〇〇〇円であった(別紙2脱税額計算書参照)のに、同年四月三〇日、同都目黒区東山三丁目二四番一三号の所轄の渋谷税務署において、税務所長に対し、その所得金額が四億四二八五万二六四五円、課税土地譲渡利益金額が四億四〇五〇万三〇〇〇円で、これに対する法人税額が二億七八九五万六七〇〇円であるという虚偽の内容の法人税確定申告書を提出した。そして、そのまま法定の納期限を経過させた結果、この事業年度における正規の法人税額三億九七七二万〇九〇〇円と申告税額との差額一億一八七六万四二〇〇円(別紙2脱税額計算書参照)を免れた。

(証拠)

1  被告人の

〈1〉公判供述

〈2〉検察官調書六通

2  北村敏美(二通)、浮島藤光(四通)及び若杉治の各検察官調書

3  大蔵事務官作成の交際費調査書及び交際費等の損金不算入額調査書

4  検察事務官作成の捜査報告書一二通

5  登記官作成の商業登記簿謄本

6  法人税確定申告書一袋(平成六年押第一五五〇号の1)

(法令の適用)

罰条 法人税法一五九条一項(罰金刑の寡額について、更に平成三年法律第三一号による改正前の罰金等臨時措置法二条一項、刑法六条、一〇条)、法人税法一五九条二項(情状による)

刑種の選択 懲役刑と罰金刑を併科

労役場留置 刑法一八条

懲役刑の執行猶予 刑法二五条一項

(出席した検察官加藤昭、弁護人木下貴司)

(裁判官 朝山芳史)

別紙1 修正損益計算書

〈省略〉

別紙2 脱税額計算書

〈省略〉

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